ニュースで耳にする「逮捕」、「身柄確保」、「勾留」の違いは?
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事件などのニュースで、容疑者が「逮捕」されたということを目にすることは多いでしょう。ただ、逮捕以外にも「身柄確保」とか、「勾留」などの言葉を目にする場合もあるでしょう。
最近話題になった埼玉県朝霞市で行方不明の中学生の少女が保護された誘拐事件がありました。かなり話題になった事件ですが、千葉大学を卒業した容疑者は当初逮捕ではなく、「身柄確保」という措置がとられました。
では、いったいこの「逮捕」、「身柄確保」、「勾留」はどのような違いがあるのでしょうか?
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逮捕と身柄確保の違いは?
逮捕と身柄確保の違いについてはこちらの記事でも話題になっています。
逮捕とは、警察などが 、容疑者の逃亡や罪証隠滅など防ぐ目的で強制的に身柄を拘束する行為をいいます。
通常逃亡を防ぐために、手錠をかけられたり、車で移送される姿をテレビで良く目にすると思います。逮捕はイメージがつく人は多いと思います。
逮捕には、「緊急逮捕」や「現行犯逮捕」という分類もありますが、裁判所から逮捕状という令状が発行され容疑者を逮捕する「通常逮捕」が一般的な逮捕です。
よく刑事ドラマを見ても、容疑者を逮捕しようとして、「令状はあるのか?」なんて警察に言っている姿を見たことがありますよね?あれです。逮捕令状を容疑者に見せて身柄を拘束するのが一般的な逮捕です。
それでは、身柄確保とは何なのでしょうか?身柄確保も、犯罪を疑われる者の身柄を拘束する点では、逮捕と変わりはありません。しかし、身柄確保は、逮捕と違い令状がありません。
本来、令状なしにはたとえ犯罪を疑わえる者でも、身柄を拘束することはできません。なぜなら、人の身柄を拘束することは、大きな人権侵害になるからです。例外は現行犯逮捕や緊急逮捕です。
では、なぜ身柄確保ということで、埼玉県朝霞市の女子中学生誘拐事件の容疑者を拘束できたのでしょうか?
身柄確保は、法律上規定がないため、法的な強制力がありません。強制力がないので、相手を強引に従わせることはできません。あくまでも相手の任意ということです。
つまり、身柄確保とは、刑事ドラマでも見られるように「署までご同行願いますか?」という感じで、相手の了解をえて拘束しているというイメージです。
一般庶民からすると「令状もクソもない」と思われるかもしれませんが、本来は逮捕状を取って、正式に逮捕するのが原則です。多くの事件では、その原則とは違って身柄確保を行っているのです。
「勾留」との違いは?
「勾留」も逮捕や身柄確保と同じように身柄を拘束するものです。勾留には次の2つがあります。
- 被疑者の勾留
- 被告人の勾留
被疑者の勾留とは、逮捕に引き続き行われるものです。警察は犯罪の容疑者を取り調べる必要がありますが、逮捕したからといって、延々と長い間取り調べができるわけではありません。
捜査をする上で、証拠隠滅や逃亡などの防止のために容疑者を拘束すする必要がある場合は、裁判所の勾留状という令状を発行してもらわなければなりません。
勾留期間は、原則10日間ですが、やむを得ない場合は裁判官がさらに10日間以内の延長を認めることもあります。例外的に犯罪ではさらに5日間以内の延長も認められます。
一方被告人の勾留とは、裁判所に起訴され、裁判となった場合に、身柄を拘束されるものです。もちろんこの場合も証拠隠滅や逃亡のおそれなどの理由がなければなりません。